機能性表示食品とは

機能性表示食品の成り立ち

これまで医薬品・医薬部外品以外で「○○に効く」といった機能・効果を表示できる食品は、特定保健用食品(以下、トクホ)と栄養機能食品に限定されていました。

食品の位置づけ

トクホは数十人のヒトが実際に食べて、「○○に効く」かどうかを実験し、そのデータを消費者庁に認めてもらえなければ取得することができません。トクホを取得するためには、高い実験費用を用意しなければならず、大手食品メーカーでなければとてもじゃないけどチャレンジできないという状況でした。

トクホマーク

トクホが取得できると商品にトクホマークを記載できます。トクホであることが一目でわかります。

もう一つの栄養機能食品というのは、ビタミンやミネラル等が一定量入っている場合に、その効果が表示できるという制度ですが、決まった栄養素にしか使えず、商品は限られています。

いわゆる健康食品

では、「昔から効くと言われている成分があるんだけど、トクホにするお金はないし、栄養機能食品にもあてはまらない」場合はどうするのでしょうか?
「まぁいいや。認められてないけど、嘘じゃないし書いちゃえ!」と効果を表示したまま発売されてしまっているのが、「いわゆる健康食品」です。
以前は「○○に効く」と書かれている食品の多くがこの「いわゆる健康食品」であったと言われています。

これらの届出情報の信頼性を担保し、販売の60日前までに消費者庁に届出を行う責任が企業には求められます。

もちろん「いわゆる健康食品」の中には、実際に効果のある食品も多くありますが、その一方で全く利かないどころか健康被害が生じる食品も存在します。国民生活センターには「この健康食品を飲めば病気が治る」など、本来言ってはいけない薬事的効果をうたって売りつける悪徳商法についての相談が、毎年2000件以上も寄せられています。しかし、食品表示に関する制度が一元化されておらず、ルールが曖昧であったため、国や地方自治体もなかなか厳しく取り締まることは難しかったようです。

これらの問題を解決するために2015年4月、国は新たに食品表示法を制定し、制度を一元化するとともに、機能性表示食品制度を導入しました。
機能性表示食品制度は、販売する60日前までに「効くことの証拠資料」を届け出れば、企業の責任のもとで「○○に効く」と言うことができる制度です。「効くことの証拠書類」が、トクホで必須になっていたヒトでの実験データ(これを臨床試験といいます)以外に、過去の文献をまとめて説明する方法(これを研究レビューといいます)でも認められることになり、費用を大きく削減できるようになったため、中小企業でもチャレンジすることができるようになりました。

ちなみに機能性表示食品には、トクホマークのようマークが認められていないため、見分けるのが難しいという問題があります。

課徴金制度の導入

機能性表示食品制度が導入されて1年、2016年4月には景品表示法も改正になり、「いわゆる健康食品」のように不当な表示をしている商品に対して、課徴金制度が導入されました。これはルール違反を犯してることが明らかになった場合、過去3年間に遡り、売上の3%を罰金として国に納めなければならないという制度です。

国としては、「本当に効果のある商品であれば、堂々と機能性表示食品として届け出て下さい。それができないということはつまり、本当は効かない商品を効くと騙して売ろうとしているんじゃないですか?」と判断して、その温床となっている「いわゆる健康食品」を絶滅させたい方針です。実際、食品表示法が新しく制定された平成27年年末のデータにおいて、取り締まり件数は劇的に増えており、政府の徹底的に改革しようという姿勢が伝わってきます。

インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視状況

平成28年5月20日消費者庁「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について(平成27年10月~12月)」
監視機関 改善要請件数
()内は改善数
事業者数 商品数
平成26年度 84(84) 131(131)
平成27年4~6月 2(2) 2(2)
平成27年7~9月 26(26) 31(31)
平成27年10~12月 230() 306()

ルールの関係上、機能性表示食品にしにくい食品も実際にはあるため、「いわゆる健康食品」を完全に根絶するのは難しいと考えられていますが、機能性表示食品が誕生したことで、商品の透明性が増したことは間違いなく、私達は健康の維持・増進に繋がる食品を安全に選びやすくなりました。

日本食品エビデンス協会