機能性表示食品を知る

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安全性の評価方法

安全性の評価フロー

届出食品について、安全性の根拠を示す過程は次の4工程から成ります。上位の工程で安全性を十分に評価することができれば、それ以降の根拠を指し示す必要はありません。なお、上位工程で根拠が十分にあると評価したとしても、さらに安全性の根拠を積み重ねるために、下位工程の評価を併せて行うことも差し支えません。

  1. 届出食品または類似食品の喫食実績による食経験の評価
  2. 届出食品または機能性関与成分の既存情報による食経験の評価
  3. 届出食品または機能性関与成分の既存情報による安全性試験結果の評価
  4. 届出食品の安全性試験による安全性の評価

喫食実績の考え方

届出食品の喫食実績による評価が許されるものは、原則既に発売されている同等商品を機能性表示食品として届け出る場合です。さらにその商品には、日本全国あるいはそれと同じような環境の海外にて、幅広い年齢層で長期間食べられてきた実績がなければなりません。しかし、そうなるとかなり限られた食品にしか適用できないため、上記の実績を有する「届出食品と類似する食品」による評価も認められています。

届出食品と類似する食品は次の3条件を満たす必要があります。

  • 機能性関与成分が同じで、同等量以上含まれていること
  • 機能性関与成分の消化・吸収過程に大きな違いがないこと
  • 届出食品に含まれる他の成分や加工過程によって、機能性関与成分が変質していないこと

ガイドラインでは、その例として、機能性関与成分を含む未加工のミックスジュースが挙げられていますが、既に届出がされている機能性表示食品では、ほぼ中身が一緒で味だけ異なる飲料や他社の同等サプリメントを類似食品として挙げています。

これら届出食品および類似食品において、下記の項目を考察することで、喫食実績の評価とします。

  • 摂取集団(国籍、年齢、性別、健康状態、規模)
  • 摂取形状(錠剤、カプセル剤)
  • 摂取方法(生食、加熱して摂取)
  • 機能性関与成分の日常的な摂取量
  • 機能性関与成分の含有量
  • 販売期間(西暦○○年から流通している)
  • 販売量(年間○㎏)
  • 健康被害情報

ただし、喫食実績については、明確にどのくらいの人々に対して、どのくらいの期間摂取していたら安全と考えていいのか、疑問が残る食品も多いため、たいていの場合、下位工程に続く既存情報の評価まで行っておくことが望ましいでしょう。

既存情報の調査方法

既存情報を用いた食経験、安全性試験結果の評価はともに、2次情報および1次情報で確認した健康被害情報に基づいて行います。
まず始めに2次情報で確認を行い、情報が不十分であった場合には1次情報も確認します。

新商品として機能性表示食品を開発する場合、届出食品における既存情報は存在しないため、機能性関与成分の既存情報を調査することになります。この場合、調査結果が届出食品に適用できる合理的な理由を考察する必要があります。

1次情報、2次情報とは?

データベース
1次情報
研究者が研究結果をまとめた文献、報告、会議録等
2次情報
1次情報を集めて作られた文献、データベース等

既存の届出食品では下記のような2次情報(データベース)が主に使用されています。

2次情報(データベース)

安全性試験を実施する選択肢

新しい機能性関与成分であり、既存情報が存在しないという場合は、in vitro、in vivo、臨床による安全性試験を実施しなければなりません。安全性の根拠を示すために、これらの安全性試験を実施するのは困難であるように思われますが、新しい機能性関与成分であった場合には研究レビューによる機能性の証明もできないと考えられるため、安全性と機能性を同じ試験系で確かめる臨床試験デザインを採択することになり、試験自体は1度で済むものと思われます。

とはいえ、臨床試験を実施するためにはそれなりの費用と時間を要しますので、確固たる需要展望がなければチャレンジするべきではありません。

医薬品との相互作用

医薬品との相互作用

どの方法で安全性の評価を行ったとしても、医薬品との相互作用に関する評価が必要です。
2次情報または1次情報において、届出食品を医薬品と併用することによって、医薬品または機能性関与成分の作用が増強して健康被害が起こる可能性がないかどうかの既存情報を確認します。相互作用がある可能性が示唆された場合には、機能性表示食品として販売することの適格性を科学的に説明しなければなりません。

既存の届出食品の中には、ヒトの健康被害情報だけでなく、動物実験における相互作用も記載している商品が多く見られます。上市後の将来性を考慮して、疑わしい既存情報は記載しておくのは賢明な判断だと思われます。なお、新しい健康被害情報が報告された際には、届出情報の更新を申請できますので、慎重に考えすぎる必要はありません。

また、届出食品に複数の機能性関与成分が含まれる場合は、その機能性関与成分同士の相互作用も評価する必要があります。

一般向け抄録の書き方

届出食品の安全性について、科学的根拠をもって説明することは、機能性表示食品を届け出た企業様の義務です。
安全性の根拠を一般消費者に理解できるように、なるべく専門用語を用いず1,000文字以内で簡単に説明します。

記載内容には、喫食実績、既存情報を用いた評価、医薬品や機能性関与成分同士の相互作用を含み、試験方法などは割愛し、評価内容を中心に要約すると定められています。なお、一般消費者にわかりやすく書くことに注視して、別紙様式(Ⅱ)に記載した内容の範囲を超えないように気を付けましょう。

日本食品エビデンス協会